300円でコーヒーを飲み、無為に時間を過ごすこと

 それはひとつの文化だった。高校生だった20年以上前も、工務店でアルバイトした中学生の頃も。ランチタイムは当たり前として、朝ごはんも喫茶店のモーニングサービスでということも少なくなかった。毎日通っていたのだ。一杯、300円前後だったと思うのだが、喫茶店で300円払うことには何の抵抗もなかった記憶がある。

 その後、円高が進み、1ドルが100円を切る時代を経てわれわれの金銭感覚は麻痺してしまった。

 いま、300円あればいろいろなものが買える。
 そうだ、100円均一ショップの存在もこのデフレスパイラルへの貢献度は相当高い。

 喫茶店でランチがいくらぐらいかというと、最低800円はするとおもう。これに対して、配達してくれる弁当は500円以下が相場だ。ここでも喫茶店はリストラの対象である。つまり、日々の選択としては、安い弁当に傾かざるをえないということである。コンビニの弁当の充実度もかなりの域に入ってきている。