商品開発(49)

不特定多数の、いや、少数の異性と性的な交渉をもつことは、それ自体は悪いことではない。
しかし、それを実現することは様々な方向から制約を受ける。
まずは、性病の問題。エイズだけではなく、感染症の拡大は性交渉への意欲を減退させている。
次は、倫理的な問題。婚姻関係にあれば法的に、そうでなくても、惚れるほどに独占欲は強くなるもの。
現実的には、複数の恋人を持つひとは存在する。
しかし、少なくともわたしはそれに該当しない。
思い込みを取り外したら、何を失うのだろうか。

もう少し、手軽にセックスしたい。

そういう気持ちを「商品」にできないかと思う。
難しいのは、相手がセックスしたがっていると、逆にこちらは萎えてしまうことが少なくないこと。少し拒絶されつつ、それを崩してゆくのが男の喜びでもある。そういうのもひとつの思い込みだろうか。

自由に相手を見つけることのできる場所があっても良いと思う。もうすでにあるけれど、わたしが知らないだけかもしれないが。
ふと、富島健夫のことを想起した。
長らく読んでいないが、久しぶりに読み返してみたい。わたしの性的な感覚はもしかすると、富島健夫の小説からできているのではないかという気もする。

天使か女か (光文社文庫)

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