明治の官僚制の導入により、「治水」は過去の歴史的な過程を奪われてしまい、その影響が現代にも尾を引いている。

・江戸時代、都市計画と治水は一体のものであった。
・明治になり、オランダから若い技術者(デレーケ)を招聘し“近代的”な河川計画を導入した。
・しかし、これが良くなかった。
・オランダはどこまでも平らな海を埋め立てた干拓地ばかり。いまも10年に一度開催される「フロリアード」という花の博覧会により、人工的に丘をつくり道路をつくり街をつくっている。
・そんな日本とは風景がまったく違う国の運河(水路)の計画論が日本に導入され、いまもそれらが基本的に主流となっている。
現代日本では、“都市計画”と“道路事業”は分離されている。
・治水と農業用水も分離されている。
・地域ではそれらが混在し共用されたりもするが、そのことがまたさらに状況を悪化させている。水路系統をマクロな視点で把握することができない。とくに洪水時の状況が。平常時と洪水時では水路ごとの役割が変わるケースがあるから。
(ではどうすればよいのか?)
・小流域単位に、治水、利水、都市計画、道路計画など、ホーリスティックな観点から管理する責任を与え、自律した地域運営(農林水産業や観光産業などの産業政策)を目指すことを、各単位の義務とする法律をつくる。
・小流域単位の自治体(1万人規模)は、防災対策や対外政策も含めたあらゆる要素を考慮したうえで、各々の地域の運営を行う。外国との外交政策や防衛政策、広域的な交通手段の整備などについては基本的に国が行うが、各地域が直接国外の国々と交流することを妨げない。
・また、基本的に広域的な交通手段の整備はすでに過剰であるとの認識をしているため、現在のインフラのあり方については逆に整理統合を図り、各地域周辺内での地産池消を促進する方向を目指す。国内を飛行機で移動する必要はまったくない。
・このことにより、各地域それぞれの個性が復活し、国内旅行の魅力が増す。海外旅行は本来贅沢なものである。