私自身へのインタヴュー(28)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/04/16
- メディア: ハードカバー
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はい。月曜日の夜中に目覚めたときに最後の何章かをまとめて読んでしまいました。このところ、夜中に目覚めたら本を読むことにしています。
−「ユングの心理学のことを念頭に置いて」読むということでしたが、いかがでしたか。
3巻にもやはり出てきました。ユングそのひとについて言及される箇所が。「ところでカール・ユングのことは知っているか?」と唐突に。ボーリンゲンにユングが自ら石を積んで建てた「塔」のことまで。河合隼雄さんの著書『ユングの生涯』にも写真入りで紹介されているエピソードで、その『ユングの生涯』の中でもっとも印象深い箇所だ。「1Q84」にはさらに細かい記述がある。「その家は今でもチューリッヒ湖畔に建っている。ユングの子孫によって管理されているが、残念ながら一般には公開されていないから、内部を目にすることはできない。話によればそのオリジナルの『塔』の入り口には、ユング自身の手によって文字を刻まれた石が、今でもはめ込まれているということだ。」とある。そして、その刻まれた文字が「冷たくても、冷たくなくても、神はここにいる」であり、この第25章のタイトルにもなっている。つまり、この小説の中でかなり重きを置かれているということになるだろう。ひとつの仮説として、「村上春樹は自らの夢を元に作品を書いている」のではないかという気がしている。意識によって書いたならばこれだけの分量の文章を書き続けることは相当な困難を伴うのではないか。より無意識に近いところで半ば自動的に書いてしまうような状態で書かれたのではないかと。とくに3巻は構成をしっかりと熟慮して書かれたものではないだろう。“オートマティック”に書かれたような感じを受ける。それでなければ、「牛河」なる章を「青豆」と「天吾」と同格に扱うなどという発想など思いもつかないだろう。「青豆」が見た夢の中でもうひとつの仮説として、「村上春樹は海外に向けてオウム真理教の一連の騒動の総括を行った」のではないかと考えている。海外に多くの読者を持つ彼だからこそ無意識的に外に向けて書いてしまったのではないかと。すでに森達也の映画「A」「A2」において表現されたこととも重なることかもしれないが。さらにもうひとつの仮説「『NHKの集金人』と聞くと心拍数に変化の生じるひとの割合がかなり多いと村上春樹は考えている」というのはどうか。かつて、『NHK受信料拒否の論理』という朝日新聞記者であった本田勝一の本を読み、それ以来受信料を払う気が無くなったひとは多いのではないか。本を手元に置きながらこんな文章を書くといくらでも書けそうなきがする。
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松岡正剛「千夜千冊」より
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0830.html
他にも、こんな記事もあった。
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/31953064.html
http://www.cyber.kbu.ac.jp/edu/takaishi/essay11.html
- 作者: 河合隼雄
- 出版社/メーカー: 第三文明社
- 発売日: 1978/10/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 河合隼雄,村上春樹
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1996/12/05
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- 作者: 本多勝一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1991/05/01
- メディア: 文庫
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